■避妊去勢手術をしないと…?
こんにちは!片浜どうぶつ病院です。
毎日のペットライフ、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は、避妊・去勢手術の重要性についてのお話です。
「そもそも避妊・去勢ってどういう事?」という話から、
「何故それが重要なのか?」という理由、そして
避妊・去勢手術を怠る事で生じるリスクについても
わかりやすくお伝えしていきたいと思います。
【避妊手術・去勢手術とは】
端的に言うなら、去勢手術ではオスの精巣を、
避妊手術ではメスの子宮と卵巣を摘出する事です。
発情期になると、動物の本能として繁殖がしたいと思うものです。
しかし、それが叶えられない場合、食欲不振や神経質になったりといったストレスになります。
発情期になる前に手術を行う事で、そういったストレスの原因である発情が抑えられ、
落ち着いた性格の子になる事が多いです。
それだけでなく、特定の病気のリスクを減らすことができます。
避妊・去勢のどちらの手術も全身麻酔を伴うため、
ワンちゃん・猫ちゃんがある程度成育している事が求められます。
個体差はありますが一般的には、
生後6か月くらいから10カ月くらいに最初の発情期を迎えるので
その頃に手術を行うのが適切と言われています。
【避妊・去勢手術をしないと…?】
先ほど「特定の病気のリスクを…」と述べましたが、
避妊・去勢手術を怠ると、具体的には
どういった病気のリスクがあるのでしょうか?
ここで、代表的な病気を3つピックアップします。
①会陰(えいん)ヘルニア
■そもそもヘルニアって何?
会陰ヘルニアを説明するにあたり、まずヘルニアについて知っておく必要があります。
ヘルニアとは、体内の組織があるべき場所からはみ出してきてしまう事です。
例えば人間において「椎間板ヘルニア」という言葉を聞いた事があると思います。
これは、背骨の腰部にある椎骨と椎骨の間にある軟骨(椎間板)が変性し、
組織の一部がはみ出す事で、付近の神経を圧迫し、足腰に激しい痛みや痺れなどの症状が出ます。
■会陰ヘルニアになるとどうなるの?
つまり、会陰ヘルニアとは会陰部、簡単に言えば
骨盤周りや、肛門の周囲から腸や脂肪が出て病気です。
初期症状として、排便が長くなったりします。
■放っておくと…
(写真予定)
■会陰ヘルニアはどんな子に多い?
会陰ヘルニアは、去勢をしていない
歳をとったオスのワンちゃんに多い病気です。
従って、手術の際には再発防止のため
去勢も合わせて行う事が多いです。
②乳腺腫瘍
■乳腺腫瘍ってどんな病気?
乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)になると、
その名の通り乳腺に腫瘍ができます。
外から触ると、しこりの様なものが出来ています。
避妊手術をしていないメスに多くみられる症例の1つです。
■どんな子がなりやすい?
若いうちに発生することもありますが、
多くは10歳くらいで見られます。
まれにオスに発生することもあります。
■放っておくと…
ワンちゃん・猫ちゃんの乳腺腫瘍は、全体の約50%が
良性腫瘍であることがわかっていますが、
悪性の場合は、リンパ節や肺へ転移する事があります。
また、肝臓、腎臓、脾臓(ひぞう)などへの転移もありえます。
③子宮蓄膿症
■子宮蓄膿症ってどんな病気?
子宮蓄膿症は、細菌感染によって、子宮内に膿が溜まってしまう病気です。
大腸菌やブドウ球菌、サルモネラ菌などの原因菌が
膣から子宮内へと侵入、増殖し、そこで毒素を出します。
■放っておくと…
はじめのうちは特に症状はありませんが、
悪化すると破裂して腹膜炎を起こし、
死に至る危険な病気です。
■治療について
子宮蓄膿症の治療は、
・手術で卵巣・子宮を摘出する(根治的外科療法)
・抗生物質や点滴を打つ(支持内科療法)
この2択です。
ただし、内科治療は膿を完全に出し切れずに再発する可能性があるため、
根治的外科療法が適した治療と言えます。
悪化すると死亡リスクが高まるため、緊急処置を必要とする怖い病気です。
しかし、適切な時期に避妊手術をすることで防げる病気でもあります。
【最後に】
今回お伝えした病気のリスク以外にも、
あなたが繁殖を望まない場合、
避妊・去勢手術は必要なものとなります。
他にも、ドッグランで他のワンちゃんと一緒に遊ばせる場合など、
避妊・去勢手術は飼い主が守るべきマナーとしても求められています。
手術費用は決して安価ではありませんが、避妊・去勢手術は
動物自身の健康とQOL(Quality of Life=生活の質)を向上させ、
一生涯、家族の一員として、健康で幸せな日々を送れるようになります。
手術の前には検査が必要になりますので、まずは当院にご相談ください。
いつでもお待ちしております。